「いざという時は代理店型の方が安心」というのは本当のことなのか

言うまでもないですが、任意保険は車による事故のときの賠償に備えて加入する保険です。

当然ながら事故に遭ったときの対応の良し悪しが任意保険を選ぶ場合の重要なポイントになります。

ところがネットのQ&Aなどでは「いざという時は代理店型が安心」とか「安かろう悪かろうが通販型」などといった偏った情報が多く、初心者が正しい情報を見分けるのはとても難しくなっています。

自動車保険の代理店関係者の書き込みが多いためだと思いますが、これに対する通販型側からの反論などがほとんどないため、一方的な話を信じてしまう場合も多いのではないでしょうか。

任意保険の事故対応は本当に代理店型の方が優れているのか、通販型は本当に「安かろう悪かろう」の保険なのかを、できるだけ客観的な事実によって検証してみました。


事故のとき代理店は何をしてくれるのか

ネットなどで「いざという時は代理店型の方が安心」という言い方を見かけることがあります。

この言い方を読めば、「事故の時は身近に代理店がある代理店型自動車保険のほうが安心ですよ」と受け取るのがごく普通のことですよね。

この言い方には「事故があれば代理店がサポートしますよ」というニュアンスが上手に盛り込まれているようです。

実際には代理店のサポートってどのようなものでしょうか。

代理店の事故対応は法律で禁止されている

結論から言うと代理店による事故時の斡旋や仲介の行為は法律で禁じられているというのが真相です。

つまり、代理店による事故対応は法令上不可能だというのが現実です。

「エー、代理店の担当の人が現場に駆けつけてくれるんじゃないの?」と思われる方が多いかも知れませんが、現実にはそのようなことはほとんどありません。

保険会社勤務経験のある方も、事故時に代理店が現場へ駆けつけることはほとんど無いと断言しています。

24時間態勢の代理店などありませんから、夜間や休日の事故であれば連絡さえも取れないことになります。

仮に駆けつけたとしても、法律で禁止されていますから間に立ったり契約者に代わって交渉したりということはできません。

できることはせいぜいアドバイスくらいのものになります。

身近に代理店があるから安心というのは事実と違う

では事故対応は誰が行うのかということになります。

事故対応はどの保険会社でも本社が受け付けて本社の事故対応担当者が行うという態勢になっています。

この点は通販型も代理店型もまったく同じです。

代理店型の関係者の方が「アドバイスできるのがメリットではないか」と言う場合もあるようです。

でもそれは、保険のプロがいるプロ代理店の場合の話であって、一般ドライバーのほとんどがお世話になっている自動車でディーラーなど副業の代理店では、そのアドバイスさえもできないというのが現実です。

私もこの実態を知るまでは、事故時には代理店がサポートしてくれるのだ、だから割高でも安心なんだと思い込んでいました。

このような誤解がなかなか解消しないのは、上記のようなコメントに代理店型各社がいちいち反論などをしていないからなのかもしれません。


代理店の85%が副業のアマチュア代理店

自動車保険の代理店には二つのタイプがあります。

一つは保険のプロがいて保険の代理店業務を専門に行う専業代理店で、別称「プロ代理店」とも呼ばれています。

もう一つは、自動車ディーラー、修理工場、ガソリンスタンドなどが片手間で代理店業務を行っている副業代理店、別称「アマチュア代理店」です。

現在、プロ代理店の数は全体の15%程度しかなく、アマチュア代理店の方が圧倒的に多くなっています。

かつては「プロ代理店は業界の10%」というのが通り相場でしたから、これでもプロ代理店は増えた方です。

代理店勤務の知人の話だと、専業代理店もピンからキリまであるといいますから本当に頼りになるプロ代理店となれば1割程度のものかもしれません。

自分のことを思い返してみればなるほどと思いますが、私たち一般ドライバーのほとんどが85%のアマチュア代理店、つまり新車ディーラーなどの片手間代理店を通して自動車保険に加入しているというのが現実です。

都市地域に住み近場にプロ代理店が見つかる人は選ぶことができるでしょうが、近くに専業代理店が無いような地域の人はアマチュア代理店は嫌だと思っても乗り換えようがありません。

代理店は、法令で事故対応が禁じられており事故時のアドバイスが生命線なのに、しっかりしたアドバイスができるプロ代理店がこのような状態であるというのが現実です。

ですから自動車保険の代理店というのは、事故のときのメリット、デメリットとはほとんど関係の無い存在だということになります。

こうして整理してみると、ネットでよく見かける「いざというときは身近に代理店がある代理店型の方が安心」というコメントは、まったく現実とは違うことがわかります。

ネットのYahoo!質問箱とか教えて!gooなどでは、見るからに代理店関係者と思われる方の回答が圧倒的に多くなっています。

通販型各社はこれらの書き込みについては無視のスタンスを取っているように見えます。

ネットで見ることのできる自動車保険の書き込みが公平な立場のものとは限らないと気づくことが通販型自動車保険の理解につながるのかもしれません。


 

事故時のレッカー移動サービスは通販型のほうが充実

車両同士の事故や自損事故で車が壊れて走れなくなればレッカー移動が必要になります。

通販型が無料ロードサービスでこのレッカー移動の無料サービスを取り入れてから、代理店型各社もレッカー移動をサービスとして取り入れるようになりました。

このロードサービスの違いも、自動車保険各社が事故のときの対応にどれだけ力点を置いているのかを見る目安となります。

まず、無料レッカーサービスに先鞭をつけた通販型各社のサービス内容はどうなっているでしょうか。

・チューリッヒ  …100kmまで無料(指定工場までなら制限なし)

・ソニー損保   …35kmまで無料(指定工場までなら制限なし)

・アクサ損害保険 …35kmまで無料(指定工場までなら制限なし)

・三井ダイレクト …45kmまで無料(指定工場までなら制限なし)

・SBI損保   …50kmまで無料(指定工場までなら制限なし)

各社とも自動付帯の無料サービスが当たり前のようになっていて、無料で移動できる距離は最低でも35kmまでとなっています。

「指定工場までなら無制限」というのは保険会社の指定工場へのレッカー移動ならどんなに距離があっても無料になるという意味です。

「業界最高レベル」とTVコマーシャルで歌っているチューリッヒは100kmまで無料です。

一方、代理店型各社のレッカー移動サービスはどうなっているでしょうか。

・東京海上日動 …特約(有料)により1回の事故に付き10万円が限度

・三井住友海上 …最大 30kmまで無料

・損保ジャパン …JAF会員:最長35km

・富士火災   …特約(有料)により最寄りの自動車販売店等まで無料

代理店型でも国内大手を取り上げて見ましたが、レッカーサービスが自動的に付き一定距離が無条件で無料になるのは三井住友海上だけとなっています。

国内最大手の東京海上日動の場合は無料の自動付帯でなく、有料の特約をつけなければレッカーサービスを受けることができません。

保険料を追加して特約をつけていなければ自前で手配しなければならないことになります。

いかがでしょうか。これを見るだけで特に説明の必要が無いくらいです。

通販型各社は、保険料が高かろうが安かろうが、また軽自動車であろうが3ナンバー車であろうが、契約者には無料のレッカー移動サービスがもれなく付いてきます。

事故にあったとき、携帯で事故の連絡するだけで初期対応サービスの一つとして直ちにレッカー移動の手配をしてくれます。

事故時のレッカー移動サービスについては、通販型の方が圧倒的に充実していると言っていいでしょう。


事故後の保険金出し渋りがあるというのは本当か?

ネットの質問・回答サイトなどで、「通販型は安かろう悪かろうの保険」とか「格安の自動車保険はいざというときの保険金出し渋りの心配がある」などという回答を見かけることがあります。

まるで「通販型自動車保険は事故があっても保険金を出し渋ることで保険金を格安にしている」というような言い方です。

もしこれが事実なら大変なことで、保険事業を認可・監督する金融庁の立ち入り検査の対象になってしまうでしょう。

格安の通販型自動車保険は、本当に保険金の出し渋りがあるのでしょうか。

調べてみると、むしろ事実はそれと反対であることがわかります。

新聞にも載りましたが、2005年から自動車保険の不払い問題がしばらく続きました。

最初に不払い問題が発覚したのも、その後判明した不払い案件が圧倒的に多かったのも、金融庁から一部営業停止の処分を受けたのも、すべて代理店型大手各社でした。

通販型各社の事案もゼロではありませんでしたが、不当な不払い事案のほとんどが代理店型の自動車保険を販売する大手各社のものでした。

金融庁の発表によると、この問題の原因は代理店が新契約取り付けに注力するあまり、商品説明をきちんと行わず、顧客が保障内容を十分理解しないまま契約することにあるということです。

自動車保険事業を認可・監督する金融庁が、代理店の頑張りすぎが保険金不払いを引き起こしていると指摘しているわけです。

事実はネットの回答コメントとはまったく逆ですね。

「通販型は代理店が間に入らないから出し渋りの心配がある」などのコメントはまったく根拠の無い、むしろ事実とは逆の話であるということがわかります。


通販型の保険料の安さは事故対応とは無関係

「事故の心配の無い方は格安の通販型でいいが、本当に事故が心配ならいざというとき安心な代理店型がおすすめ」

「格安の通販型でも気休めになるが事故にしっかり備えるなら代理店型」

このようなちょっと意味がわからないようなコメントをインターネットで見かけることがあります。

まるで通常の商品のように、値段の安い品物はそれなりの満足度にしかならないと言っているようです。

保険料の高い代理店型自動車保険は、本当に値段の高さに見合う高品質が実現されているのでしょうか。

代理店型の保険料が高いのは中間コストがあるから

代理店型の保険料を引き上げている最大の要因は、代理店手数料と支社・支店の人件費です。

代理店手数料は保険料の15%~20%と言われていますから、ケースによってはこの代理店手数料だけで通販型より数万円も保険料が高くなってしまいます。

さらに、支社・支店の人件費があります。

代理店型自動車保険の支社・支店には決して安くない人件費の社員の方がいて、代理店を巡ったり、代理店である新車ディーラーのキャンペーンなどに顔を出して義理買いをしたりなどの営業活動を行っています。

その方々の仕事を否定するつもりはまったくありませんが、ただ代理店型の保険料にはこのような社員の人件費も含まれていることは知っておく必要があるでしょう。

事故対応の充実など保険の品質を上げるためのコストがかかるために保険料が高くなっているのではないのです。

代理店手数料にしても、85%が事故時のアドバイスもままならないアマチュア代理店ですから、品質向上のためのコストとはいえません。

各保険会社は、事故対応について代理店が横から口出しをするのを嫌っているというのが真相ですから、代理店手数料の本質は募集・勧誘のための手数料だといっていいでしょう。

通販型は中間コストが一切無いから保険料が安い

一方通販型の方は、電話、インターネットなどによる直接契約を採用して、代理店型にあるような中間コストをスッパリ省略しています。

事故対応経費など品質に関わるコストを削って保険料を安くしているのではありません。

むしろ、中間コスト削減で浮いた分を事故時の初期対応の充実や事故直後のレッカーサービスの充実に充てることによって、代理店型に差をつけています。

通販型は募集のための広告費が代理店型より大きくなるという事情がありますが、それでも代理店型各社よりはるかに安い保険料を実現しています。

通販型と代理店型の保険料の違いは、保険料に占める中間コストの比重が大変大きいものであることを示しています。


 

通販型は全社が夜間・休日の初期対応を実施

事故対応は保険会社の本社の事故対応担当者が直接行うという点は、通販型も代理店型も全く同じです。

では本社での事故対応はどのように行われるのでしょうか。

事故直後の「初期対応」がどのように行われるかが重要

まず事故受付については全保険会社が24時間365日対応を行っているようです。

しかし、受け付けた後の事故対応担当者による「初期対応」の開始になると各保険会社によって違いが出てきます。

(※初期対応…相手への連絡、病院・修理工場への連絡、レッカーの手配など)、

契約者にとっては、最も不安を感じる事故発生直後にどれだけ適切な初期対応をしてもらえるかが重要になりますが、ここに各社の姿勢の違いが出てきます。

中でも、夜間、休日の初期対応、つまり

・夜間・休日には事故受付だけで初期対応は行わないのか
・夜間・休日にも受付時間を決めて初期対応を行うのか

の違いが、保険会社の事故対応への力の入れ具合いを見る重要なポイントになります。

通販型はほぼ全社が夜間・休日の初期対応を行っている

通販型各社の初期対応受付時間を調べてみました。(2013年1月現在)

この時間内に事故の連絡があればその日のうちに初期対応が開始されるという時間です。

・ソニー損保

平日 0:00~20:00
休日 0:00~20:00

・三井ダイレクト

平日 9:00~19:00
休日 9:00~19:00

・アクサダイレクト

平日 9:00~17:00
休日 9:00~17:00

・そんぽ24

平日 9:00~19:00
休日 9:00~17:00

・SBI損保

平日 9:00~21:00
休日 9:00~21:00

・イーデザイン損保

平日 9:00~21:00
休日 9:00~21:00

・チューリッヒ

平日 0:00~20:00
休日 0:00~20:00

・大人の自動車保険

非公開

時間帯の違いはありますがほぼ全社が夜間・休日も初期対応を行える態勢になっています。

そしてこれが通販型自動車保険の事故対応のセールスポイントになっています。


代理店型各社の初期対応受付時間ははっきりしない面が多い

これに対して、代理店型の初期対応はどうなっているのでしょうか。

富士火災のように「24時間365日富士火災の社員が常駐し、深夜・休日でも平日と同様の初期対応サービスを行います。」と明記しているところもありますが、全体として明確に公表しているところが少ないようです。

自動車保険に詳しいファイナンシャルプランナーの調査では、17時から18時で店じまいとなるところが多いという結果になっています。

自動車保険の競争は激烈ですから、通販型各社並みに受け付けているのであれば当然公開して初期対応の充実をアピールするのでしょうが、はっきりしないというのはそれなりの受付時間だということなのでしょうか。

中にはオペレーターによる受付と事故担当者の対応とをわざと混同させているような公式サイトも見かけました。

公式サイトで初期対応の受付態勢を確認できたのは次の4社でした。

・損保ジャパン

サービスセンター(事故対応拠点)での対応…平日午前9時から午後5時まで(土曜・日曜・祝日は休み)

上記以外の時間帯は事故サポートデスクで事故の連絡・問い合わせを受付(初期対応かは不明)

・富士火災

「24時間365日富士火災の社員が常駐し深夜・休日でも平日と同様の初期対応サービスを行います。」

※平日と同様の初期対応…平日の対応が何時から何時までかが不明。

・三井住友海上

「夜間・休日の初期対応サービス(夜10時まで対応)」

・東京海上日動

「初期対応…事故のご連絡を受け付けた後、ご要望に応じて修理工場・病院等への各種手配や被害者への連絡等を行います。」

※受付時間が不明。


これら以外の代理店型は初期対応の受付時間帯に関する記述はなく、各社によって対応時間や代理店の連絡受付時間が違うのでしょうが、大体17時から18時で店じまいとなるところが多いのではないでしょうか。


事故対応満足度調査の結果が真実を示している

これまで紹介してきたことの仕上げというか、裏付けとして、CS調査の結果を見てみましょう。

世界的な市場調査会社J.D.パワーの日本子会社J.D.パワー アジア・パシフィックは、2004年から毎年自動車保険に関する顧客満足度調査を行い、結果をランキングの形で公表しています。

第三者機関が自主企画によって行っている調査で、自動車保険に関する各種調査の中でも最も客観性が高いと思われるランキングです。

最新の2014年は、「新規加入者満足度調査」、「契約者満足度調査」、「事故対応満足度調査」の3本立てで行われています。

「事故対応満足度調査」のランキングは次のようになっています。


第1位は6年連続で外資系の代理店型損保AIUですが、第2位に通販型のアメリカンホームが入っています。

アメリカンホームは通販型自動車保険のさきがけとなった任意保険ですが、この格安の通販型に国内損保の代理店型各社はすべて負けています。

また同じく通販型のソニー損保も4位に入っていますが、代理店型の国内損保でこのソニー損保に勝っているのは富士火災と損保ジャパンだけです。

いかがでしょうか。

このランキングを見るだけで、保険料の高い代理店型が事故対応も優秀だとは限らないということがよく分かると思います。

「安かろう悪かろう」といいますが、保険料が高いか安いかは顧客満足度とは基本的に関係のないことなのです。

いや、費用対効果のことを考えれば、保険料の安いことはむしろ満足度を高める方に働くのではないでしょうか。

※参考記事 ⇒ 任意保険の満足度ランキングはどうなっているか

まとめ

ここまで読んでいただければ、事故対応の良し悪しは保険料の高さで決まるのではなく、社内態勢や社内教育などの違いで決まるのだということがお分かりいただけたと思います。

確かにJ.D.パワーのランキングで10位以内に入っているのは代理店型の方が多いですが、6社対4社で決定的な違いというほどにはなっていません。

むしろ、3位から13位くらいまでのまでの拮抗しているポイント数を見ると、通販型も代理店も互角の勝負だといっていいでしょう。

これからは、「安かろう悪かろう」などという全く根拠の無い話に絶対に惑わされないようにしましょう。


※任意保険の事故対応に関する参考記事はコチラ

「通販はいざという時不安」は本当か

自動車保険の事故対応の実態

代理店の事故対応が禁止される理由

「通販型は事故を起こせば捨てられる」は本当か?

事故対応に特化した満足度ランキング

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